ライブコーディングでリングをループしていて、気が付くとたくさんのことをしていたことはないでしょうか。例えば、メロディーの音符、リズムのためのスリープ時間、コード進行や音色のバリエーションなどをリングに入れたり。
Sonic Piはlive_loopの中でリングと一緒に使えるとても手軽なツールを提供しています。それはチックシステムと呼ばれ、tick through rings(リングをチックタックと進める) 機能を提供しています。次の例を見てください。
counter = 0
live_loop :arp do
play (scale :e3, :minor_pentatonic)[counter], release: 0.1
counter += 1
sleep 0.125
end
上のコードは次のコードと同じです。
live_loop :arp do
play (scale :e3, :minor_pentatonic).tick, release: 0.1
sleep 0.125
end
ここでは、E3マイナーペンタトニックのスケールを作成し、各要素をチックしています。これは、.tickをscaleの呼び出しの末尾に追加することによって実現されています。チックはライブループの中でローカルであるため、個々のライブループは別々のチックを持つことができます。
live_loop :arp do
play (scale :e3, :minor_pentatonic).tick, release: 0.1
sleep 0.125
end
live_loop :arp2 do
use_synth :dsaw
play (scale :e2, :minor_pentatonic, num_octaves: 3).tick, release: 0.25
sleep 0.25
end
tickはまた標準関数としても呼ぶことができ、その値はインデックスとして使うことができます。
live_loop :arp do
idx = tick
play (scale :e3, :minor_pentatonic)[idx], release: 0.1
sleep 0.125
end
しかし、この場合は.tickを呼ぶほうが良いでしょう。tick関数の用途は、チックの値で手の込んだことをしたかったり、リングのインデックス以外にチックの値を使いたかったりする場合ではないでしょうか。
チックの魅力的なところは、それが新しいインデックス(もしくはそのインデックスにあるリングの値)を返すだけでなく、次にチックを呼んだときに必ず次の値を返すことを保証していることでしょう。このようなチックの動作は、様々な形でtickのドキュメントの例で見ることができるでしょう。しかし、ここで、チックの現在の値を見たいだけで、値を増加させたくないの場合もあることを指摘することは重要でしょう。これはlook関数により実現可能です。lookは、標準関数として呼んだり、リングの後ろに.lookを付けたりできます。
最後に、1つのライブループに複数のチックが必要になることがあるかもしれません。これはチックに名前を付けることで実現できます。
live_loop :arp do
play (scale :e3, :minor_pentatonic).tick(:foo), release: 0.1
sleep (ring 0.125, 0.25).tick(:bar)
end
ここでは2つのチックを使っていて、1つは音符用に、もう1つはスリープ時間用にしています。これらのチックは同じライブループにあるので、別々にしておくためにユニークな名前を与えています。これはちょうどlive_loopに名前を付ける(:から始まるシンボル名を渡すだけ)のと同じことです。上の例では1つは:fooでチックを呼び出し、もう1つは:barで呼び出しています。また、これらの値をlookしたい場合には、チックの名前をlookに渡す必要があります。
チックシステムの能力のほどんどは、最初のうちは役に立たないでしょう。このセクションの全ての内容を学習しようとしないでください。1つのリングでチックすることだけに集中するとよいでしょう。そうすることで、live_loopでリングをチックする簡単さや楽しみを得ることができるでしょう。
tickのドキュメントには役に立つ例がたくさんあるので、それを見て楽しくチックを使ってみましょう!